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Leader's

インタビュー

藤田実氏

昭和44年:J.ウォルター・トンプソンシカゴから株式会社マッキャンエリクソン博報堂営業局へ入社。

平成2年:株式会社マッキャンエリクソン博報堂筆頭副社長就任

平成7年:株式会社東急エージェンシー常任理事就任

平成11年:オグルヴィ・アンド・メイザー・アジアパシフィック取締役リージョナルディレクター就任

平成21年:オグルヴィ・アンド・メイザー・ジャパン株式会社(現オグルヴィ・アンド・メイザー・ジャパン合同会社)取締役副会長就任

平成24年:オグルヴィ・アンド・メイザー・ジャパン合同会社会長就任

平成24年:オグルヴィ・アンド・メイザー・ジャパン合同会社名誉会長就任(現任)

 

この大きな転換期を乗り越えるには、国民一人ひとりが高い意識を持ち、そして輝くことが大切。
島国意識からの脱却が、日本を更に飛躍させる。

 

藤井:藤田さんとはもう長い付き合いですけれども、非常に面白いご縁で、ハーバードAMPプログラムの時にある意味”運命的な再会”をしたわけですけれども、いろいろとチャレンジされているという印象がとても強く、是非その行動力・向上心の源泉にあるモノを幼少時代からさかのぼっていろいろとお話をお聞かせいただきたいと思っていますが、まずは、グローバル化が進む中で、現在、日本は大きな転換期を迎えていると思いますが、藤田さんは現在の日本をどの様に見ているのかをお話いただければと思います。

 

個々が、志と覚悟と誇りを持ち、この大転換期を乗り越える。

 

藤田:そうですね、今の日本の現状と、今後のグローバル化の必要性について簡単に持論を述べさせていただきますと、今の日本は、明治維新、そして1945年の終戦、それと同等の3度目の転換期がまさに今、来ていると確信しています。

 

政治では今は、安倍首相を筆頭に頑張っておられますが、国が、企業が、ということだけではなく、私たち一人ひとりが高い意識を持ってこの時代を乗り切っていくという事が重要だと思っています。

 

外国の友人にはよく「藤田、最近の日本はどうなんだ?」と聞かれるのですが、僕が言い続けているのは、「日本は今、第三の大転換期、ここでずり落ちずに一人ひとりが踏ん張って、踏みとどまって、立ち直る時代が来ている。」と言っています。

 

僕は幕末から明治維新にかけての日本人の生き様が子供の頃から好きでね、『坂本竜馬』や『坂の上の雲』なんかも一生懸命読んでいましたけれども、外国人から見ると、「なんであの東洋の果ての小さい島国が、突如目覚めて、何百年にわたる鎖国を捨てて、産業革命に追いつき、日清・日露・第一次世界大戦を経て一等国にのし上がったのか?」

 

日本人自らもそうですが、心ある外国人からすればですよ、あの明治維新というのは本当にレボリューションだった。維新というのはレストレーションという意味ですから、王政復古の事ですけれども、私はあれば侍階級の人達の革命であったと思っています。要するに下層階級の武士が立ち上がった。結果的に多くの人が志のために死んでいった。だからあれば革命だったのだと私は思う。

 

大転換期にある現在、まさに明治維新の時の日本人と同じように、それぞれが志と覚悟と誇りを持ち、グローバル環境下でのあり方を問いなおす時が来ているのではないでしょうか。

 

傲り高ぶり、見て見ぬ振りをしてきた”しっぺ返し”が今きている。

 

藤田:明治維新を契機に突如立ち上がった日本人が、大国清や露と戦って、ぎりぎりのところで勝っていき、第一次世界大戦では多少漁夫の利を得たということもあるかもしれないが、戦勝国になって一等国になっていった。

 

ところが、日支事変(1931年)のあたりから少しおかしくなってきた。軍部の独走など様々な要因はあったとは思いますが、傲り高ぶったのではないかと思っているんですね。

 

そして私が生まれた1941年に無謀なる戦争に突入する。それから4年ちょっと後に、焼け野原の中で日本国は「敗戦」ではなく「終戦」と言ったが、それは日本人の甘えではなかったかと思っている。自分達が自分達の政策・考え方が明らかに間違っていたと認め、なぜ敗戦したのかと考え、同時に精神文化も同時に見直さなければいけない時代だった。

 

突如米国から押し付けられた民主主義の中で、教育や文化、芸術を全否定してしまった。私の兄がよく言っていましたが、ある日学校へ行くと、教科書が全て塗りつぶされて、つい先日までは”鬼畜米兵”と言っていた先生たちが、占領軍で入ってきたマッカーサーを崇め奉ったわけです。私はその時期が、いいこともあったけれども、日本人の反省が足りなかったのではと思うわけです。

 

だから私は今も教育問題にはものすごく興味ありますね。藤井さんも私も、企業戦士になって何としても経済復興だと奔走し、教育は文科省、教育委員会、学校、母親に任せっきりになり、それが今手痛いしっぺ返しにあっているような気がするのです。

 

国力は落ちても、国威は落とさないグローバル社会で存在感のある国へ。

 

藤田:もう少し具体的に言うと、資本主義、民主主義の一部を日本は採用しましたけれども、例えば、自由に伴う責任や義務、資本主義に伴う一方的に偏った富だとかがありますけれども、急激な成長を遂げる中で、その負の部分を含めた両サイドを見ていくことが出来ていなかったのではないかと思っています。

 

そして、戦後の遺産を食いつぶしながら、徐々に自信を失い、色々なことを先延ばしにしてきたことで、経済的には明らかにグローバルエコノミーの大きな船に乗り遅れた。そして、乗り遅れて最後もう徳俵に足が掛かったところでリスクの高い経済対策に今乗り出そうとしている様にも見えますよね。

 

その徳俵が本当に徳となって土俵の中央に戻れるのかどうかは国民一人ひとりの意識にかかっているのではないでしょうか。土俵際というのは経済という観点だけではありません。

 

避けて通れない少子高齢化、現在の人口は1億3千万、2050年には1億を割ると言われており、相対的に国力が落ちていくのは仕方がないと思っています。お隣には13億人の国、インドでは10億人超。私もよく仕事で行きますけれども、彼らが持つダイナミズムというのは残念ながら日本にはもうない。

 

国力は相対的に落ちていくのは止むを得ないと思いますが、私は同時に「国威」、国の権威ですね。あるいは市民の自覚も含めてですけれども、その国威まで落ちていくのはいかがなものだろうかと思っています。

 

どこの国からも「あの国はいい国だね」と言われる、あるいは、日本に生まれた人達が夢と希望を持って打ちのめされないような環境に導いて行ってほしいなと思っています。

 

同じ島国の英国から学ぶ。

 

今までいろいろな国が興隆してきましたが、僕は今、英国の歴史を勉強してみようと思っているんですね。それは百数十年前、ビクトリア女王の頃は世界一位の国ですよね。

今は人口4.5千万で、我々と同じ島国で、国力的に言うと今世界の十指に入るかどうかのところだと思うのですが、英国人や英国の持つ「存在感」というものがグローバル社会において、日本とは少し違うんじゃないかなと感じるわけです。

 

英国の言うことはイラク戦争を除いて米国も聞くし、EUも聞かざるを得ない、中国も英国に対しては敬意を払う。それは、英国がそういうポジショニングにあるということで、日本もグローバル社会の中でそういったポジショニングを目指していかなければならないのではと強く感じています。

 

そのためには、国も私たち日本人一人ひとりも、世界の中でしっかりしたポジショニングを取れるように常日頃からグローバルを意識して行動していく必要があります。

 

「島国国家」という意識から「海洋国家」という意識へ。

 

ペリーが来てから明治維新までが約15年。1993年に日本のバブルが崩壊してからもう既に約20年もの月日が流れています。本来15年位で目覚めるべきだったのでしょうけど、なんとなく余力が残っていて、ダラダラと来てしまった。気づいたら本当にここで踏みとどまれるかという局面に来ている。

 

1年2年で政治や経済は大きくは改善できませんけれども、誇り高き国であるために、国も企業も個人も、各自がどうあるべきかを意識して立ち向かっていかなくてはいけない。

 

私は日系アメリカ人のグレン・S・フクシマ氏とお付き合いがありまして、彼は日本に27年前に来て以来、様々な欧米系企業のCEOを務め、約1年前にワシントンのシンクタンクに戻っていきましたが、彼は自分が米国人であることを誇りに思っていると同時に、日本には本当に良くなってほしいという想いをいつも持っていました。

 

私はこれからどうなっていくのかということと同時に、「なぜここまで日本は落ち込んでしまったのだろう。」ということにも興味があり、彼がワシントンに帰るときに朝食を一緒に食べていましてね、その時に彼に聞いてみたのです。すると彼は「27年間日本に住み、米国から見ていた日本と、日本の中から見た日本を通じて感じたことはたった一つしかない」というのですよ。

 

それは、「日本は”島国であるという意識”を持った時にダメになる。そうではなくて”日本は海洋国家なんだ”という意識を持った時に日本は更なる発展を遂げる。」ということを言ったんですね。「海洋国家」というのは英語で「マリタイムネーション(maritime nation)」と言うようで、彼は「日本はマリタイムネーションという意識に立った時、また必ず発展すると僕は信じています」と言った。正にその通りだと思いますね。

 

藤井:全く同感です。私も同じ考えを持っていて、島国であるというのは、日本は世界とは違っているんだ、特別なものだと感じ、内向きになり、視野も思考も発想も狭くなってしまっている。日本人もアメリカ人も中国人もなくて、人間という一つの集団なのだという意識を持ち、その中でどうあるべきなのかという事を考え、意識し、行動していく必要があると思っています。

 

藤田:その通りですね、日本は国土を見ていると小さい国ですが、領海を含めると世界第6位なんですよね。まあこれは尖閣・竹島を守れということだけではなく、「海洋国家」としてのあり方こそ、日本人が何千年も前から受け継いできた特権であり、意識なのではないかと思いますね。

 

これからの若者

 

藤井:昨今の日本社会を見ていると、海洋国家としての外向きな意識というよりも、内へ内へと意識が向いている若者も多く、何か閉塞感に包まれているようにも感じます。海洋国家としての意識を改めてしっかりと継承していきたいところですよね。

これからの社会を創っていく若者に対して、何か伝えたいことはありますか?

 

藤田:これからの日本人は、海洋国家としての意識を持ち、オープンにして、全ての国々といろいろな問題をかかえつつも、互いを尊重し合い、パートナーシップを築いていけることが大切だと思っています。情報やインテリジェンス、偏見なしに受け入れていくという素養を身に付けていくことが大切なのではないでしょうか。

 

しかし、そこに大きく立ちはだかってくるのは語学でしょう。通訳だ翻訳機だということもありますが、自分の考えを自分の感情を込めた声で相手に伝えるということは全くの別物だと思っている。綺麗な英語でなくてもいい、ブロークンでもいいのでちゃんと自分の言葉で伝えることに意味がある。言葉に対する最も重要なことはコミュニケーションですからね。

 

そういった壁を乗り越えつつも、日本人であることに対して誇りを持ち、胸を張って自分の夢を語り、様々なチャレンジを通じて、自身の夢や目標を一つひとつ実現していってほしいと思っています。

 

藤井:ありがとうございます。

では、また後半で藤田さんのキャリア形成についていろいろお話をお伺いさせてください。

北里光司朗氏

国際キワニス日本地区ガバナー

元BTジャパン(株)会長

藤田実氏

オグルヴィアンドメイザージャパン 名誉会長

西川盛朗氏

ヨコハマコンサルティング(株) 代表取締役社長 元・ジョンソン社日本法人社長(CEO)、会長

今江博之氏

日本ジョンクレーン(株)代表取締役社長

渡邉健太郎氏

エコラボ合同会社    代表取締役社長

原田武夫氏

IISIA 原田武夫国際戦略情報研究所 CEO

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