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Leader's

インタビュー

今江博之氏

経歴:1960年に滋賀県生まれ。同志社大学商学部卒業後、村田機械、久米商事、シャトルワース、テサテープ、グラコと転職し、そしてテサテープに出戻りで社長になり、ギビンイメージング、現在日本ジョンクレーン代表取締役社長。

運命は1枚のガムから始まった。

型破りなリーダーへの道。(後編)

 

真のリーダーとしての再出発。

 

藤井:それで今のジョンクレーンに移るわけですな。

 

今江:そうですね、日本とイギリスのジョイントベンチャーなのですけど、もともとは日本側のスターライト工業という会社が51%株を持っていて、オペレーション自体はスターライト社がやっていたんですけど、5年前から、ジョンクレーンが買い増しして70%になり、オペレーションもジョンクレーンに移った、そのタイミングで社長も交代しようということで僕の前任者の社長に変わったのですが、業績等々いろいろありまして、誰かを探しているというところで、僕が引っかかってきた。生まれ故郷の滋賀県の会社ということもあって、何かの縁だということでお世話になることに。

 

僕のミッションとしては、とにかく業績を上げることと、みんなを一丸としてくれということ。正直に言うとバラバラでしたから。

 

藤井:村田機械から始まって、いろいろな会社で経験を積んで、本当の意味でのリーダーとしてジョンクレーンに入って、ここで苦労したことは?

 

今江:入った時に驚いたのは、社長へのダイレクトレポートの部長の方々がとにかくバラバラで、横のつながりが全然ない。みんなが社長との縦のつながりをつくろうとして、そのつながりが強い奴が強いという感じの文化があったことに驚きました。

 

70%ジョンクレーンが持っているにもかかわらず、なんて日本的な会社だと。

 

自分のダイレクトレポートを中心に如何に会社を一丸にしていくか、最初の一年は非常に苦労しました。ビジョンを作ったり、ストラテジーを作ったり、それも自分が作るのではなく、みんなで時間をかけてディスカッションして作って、アクションプランまで作りました。

 

戦略を立てて、アクションプランを立てたはいいが、実行段階で管理職が実行する段階でスピードが鈍る、オーナーシップが欠如していたんですね。自分がやるんだという決意、覚悟に欠けていた。最近だとだいぶ改善してきたようにも思えるが、上に言われたからやるというような日本的なカルチャーがまだまだ残っているように思える。

 

これからのチャレンジとしては、会社全体のカルチャーをどういうふうに変えていけるかというのが大きな課題ですね。やはり主体的にアクションを起こしていくことで仕事はどんどん面白くなってくるし、成果だって上がってくる。魂を入れれば入れるほどそうなる。そうなれば人生ももっともっと楽しく、ワクワクしてくる。そういう人達であふれさせていきたいし、そういう人を見て若手が育つと思っている。

 

仲間を巻き込み、どう本気にさせていくか。

 

藤井:どうやったらみんなが本気になってくれますか?

 

今江:そうですね、一つ言えるのは、こっちが誰よりも本気になることじゃないですかね。自分の本気度をいかに見せられるか、相手と真剣に向き合えるかどうか。それに尽きると思いますね。こっちが少しでも油断した態度や言動したら即緩んでしまう。

 

特に、叱るとき、褒めるとき、とにかくド真剣に相手と向き合うこと。特にド叱った時は、必ずその後のフォローアップを真剣にやらないといけない。なんで叱られたのかをしっかりと理解させ、納得させてあげないとフェアでないし、ミスや失敗をその人の成長にきっちりつなげてあげることが大切だと思う。

 

藤井:昔は飲みニケーションとか言って、先輩が後輩を叱ったあとは飲みにつれていったりしていましたが、今江さんは今どうですか?

 

今江:ええ、忙しいですよ。だから、栗東に行っているときでも、必ず誰かと飯食ってますね、金がなんぼあっても足りませんよ。昔から飲みニケーションっていうのが大事だってのもわかってましたし、実行していましたけど、ほとんど会社の金でした。テサの時代なんて特にそうでした。

 

今のジョンクレーンではそれは一切やってません、自分のお金でやるようにしています。誰と飲みにいったとしても、僕のフィロソフィーとして、必ず1万円置いて帰るようにしています。それに対して僕はその行為に対して感謝してもらおうとか、何を期待しようとかいうのは一切なくて、僕にとってそういう場っていうのは、ある意味みんなの話を聞く場でもあるし、僕の想いや話を聞いてもらう場でもあると思っている。そうなると、時にえらそうな言動も出るだろうし、その謝り賃だと思って1万円置くようにしています。

 

現在、リーダーとして大切にしていること。

 

藤井:今、リーダーとして大切にしていることは何ですか?

 

今江:自分のことより人のことを考えること。いっぱい枝葉がつながっているんですが、衆知を集めないといけないわけですから、とにかく自分が気づいていかないといけない。一つの案件に対して関わっている人、関わるべき人というのは常にアンテナを張り巡らせておかないと、気づかれなかった人はやる気を失ってしまうだろうし、逆に、いろいろ気づいてあげることによって、みんなのモチベーションが高まってくる。だからみんなが思っている以上に僕はみんなのことを見てるつもりです。

 

もう一つは、時と場合によりますけど、なるべく結論を言わないことですね。まあ誘導質問になっていることもあるでしょうが、できるかぎり最初に課題をポーンと与えるようにして、後はみんなが議論して、自然と結論にもっていけるようになれたらいいなと思っています。そういう活動の中で、次のリーダーも育っていきますし。

 

まあ昔の私は結論ありきでしたからね、「こうすんねん、文句あるか、終わりや、やれ」でしたからね。(笑)

 

藤井:テサの時に比べたら、180度変わりましたね。

 

今江:そうですね、リーダーシップに関する意識は全く違いますね、まあ、ただ白髪増えますわ(笑)

 

人を呼ぶ時もそうだし、課題を与えるのもそうだし、一人ひとりの性格だとか、タイプをとにかくよく把握していかないと、うまくいきませんね。だから先ほどの飲みニケーションもそうですけど、出来る限りみんなと接して、その人のことをとにかく理解しようとしています。そういうことが、チームづくりや役割分担にも役に立つし、それぞれのやる気のほめ方、叱り方も含めてですね。

 

それを理解したうえで、課題を与えて、みんなで議論して、みんなで解決策出して、とやれば主体的にやってくれる。そうなると彼らの成長の仕方も違う。一方的に僕が結論出して、僕が細かい指示してなんてやっていたら、みんなやらされ感で主体性を失ってしまう。そうなるとチームとしての機能は低下していきます。

 

失敗するということを覚悟して任せる。中間管理職でも、部下に仕事を任せられない人もおりますよね、なんで任せられないんだと聞くと、「失敗するから」と言うが、みんな失敗する、僕も失敗する、だから任せるときには失敗するということを覚悟して任せないといけない。

 

そういうスタイルに変わって、確かに白髪は増えたかもしれないですけど、反面、そうしていくことで、より自然体でみんなと接することができるようになりました。以前は、テサの頃は、みんなの前では完璧、鉄壁でなくてはいけない、隙のひとつも見せたらあかんと思っていましたからね。

 

でも、今は全然平気ですもん。自分が悪いと思ったら、みんなの前でも謝れるし、今はみんなの前で拗ねたりもできますよ。そういう意味では楽になりましたね。拗ねて部屋から出ていくと、必ず誰かが呼びにきてくれるし(笑)

 

そういうことができるようになると、はじめて「仲間」というものができてくるんでしょうね。僕は今「社員の人達」とは努めて言わないようにしている、「仲間」というようにしている。それは上でも下でも横でも関わりなくね。

 

様々な外資企業を経験して感じる、日本のリーダーと海外のリーダーの違い。

 

藤井:日本のリーダーと海外のリーダーの違いは何か感じますか?

 

今江:そうですね、僕はほとんど海外のリーダーに仕えてきましたが、上にいけばいくほど、勉強するし、上にいけばいくほど自分の高める努力をしますよね。もちろん日本人のリーダーもものすごく勉強する人もたくさんいますけど、上に行けばいくほど、現状維持で満足してしまう人も少なくないと思いますよね。日本の政治なんてみていてもそう思いますけどね。相対的に海外のリーダーのほうが向上心が高い人が多い気がしますね。

 

藤井:海外では経営層にコーチングをつけたりするのも当たり前に行われていますからね。

 

今江:あとは、最近は日本でもそうなのかもしれませんが、チームでものをやるのは、西洋のほうが強いと思いますね、日本は俺が俺がというトップダウンになりがちで、それで、若手がどんどん受け身体質になって、モチベーションも下がっていく。

 

これからは、私の型破りな経験を、人や社会に還元していきたい。

 

藤井:これからどのようなところを目指していきたいとお考えですか?

 

今江:正直なところ、あまり考えていないですね。振り返ってみても、絶対にこうしたいと思ったのは、25歳で海外に行った時と、45歳でトップになりたいという2つだけでした。

 

こうして振り返ってみると不思議なもので、一枚のガムから始まって、どこか運命に導かれるように、転機となる時に、人とめぐりあい、必要な時に、機会とめぐりあいここまできた。もしかしたらあの時西洋のご婦人にガムをもらわなければ、今の僕は無かったかもしれない。

 

ただ、僕の経験を人や社会に還元できないものかということは考えていますね。

目立っていたのは運動会の時だけというような幼少期、何度も横道に反れかかった学生時代、そして、勢いに任せて海外に飛び出した経験から始まり、そして7度の転職、外資系でのキャリア、出戻り社長、全部体当たりで、いろいろな経験を積んできた。

 

官僚的な大企業ではないところで、体当たりで、キャリアを積んできた。そういう型破りな人間っていうのも結構珍しいケースなのかなと思うんですよね。

 

そういう経験をどこかで人や社会に還元できたらいいなとは思っています。

 

型破りなリーダーが、日本の若者に伝えたい3つのこと。

 

藤井:少し大きな話になりますが、今の日本、日本人のあり方や、若者達に伝えたいとしたら何がありますか?

 

今江:そうですね、日本人としてのアイデンティティを持ちながらも、やはりグローバルな視野を持ち、グローバルな舞台で活躍していくことが求められてきている。国内、海外というような括りすら無くなってきている中で、いつまでも内向き志向でやっていたら自分の可能性も活かせないし、どんどん埋もれていってしまうように思う。

 

更にグローバル化が加速し、フラットな社会になってくる中で、生き残っていくために大切だと思うことがいくつかあります。

 

一つ目は、どんどん外との接点を持って、お互いがWIN-WINになる関係をどれだけ作れるかということ。そのためにはコミュニケーション力が必要だけど、信頼関係を結ぶには、どれだけ自分が裸になれるかが大事。今の若い人を見ていると、裸になるのが本当にへたくそ。常に何か鎧をつけているように思える。

 

信頼関係を結ぶのに、相手が裸になるのを待っていてはダメ。それだと時間がいくらあっても足りない。必ず自分が先に裸になる。

 

個人なんていうのは、みんな大したことないんですよ。それを認めるのが怖いんでしょうね。

等身大の自分を認めて、自分ときっちり向き合うことができれば、どんどん自分をさらけ出せる、等身大、自然体で勝負できるし、今の位置を知れば、どうやって高めるかだってわかる。鎧を着ていたらそれが全部できない。

 

そうやって鎧を着ているから、みんな”おりこうさん”なんだけど、結局金太郎飴のように他と変わらない、いい意味での田舎のやんちゃ坊主みたいなのが居なくなっているんじゃないでしょうかね。違いを恐れずに、もうちょっと自分を出したらいいのになと思うんですけどね。

 

もう一つは、どこでも言われることですが、人との縁を大事にすること。僕自身もこうしてキャリアを振り返ってみても、私は本当に先輩方に恵まれていて、僕の転機には常にそういう先輩方が現れて、味方してくれて、導いてくれた。そういう流れに導かれて僕はここまで来たのだなと思うし、仕事においてもプライベートにおいても、人の縁というのは大事にしてほしいなと思います。

 

最後に、自分自身をしっかり持つこと。嫌なものは嫌、好きなモノは好き、そういう価値観を明確にすることは、これからもっと求められてくるのではないでしょうか?

そして、自分でこうしたいという強い想いを持つこと。それが無いと何も始まらないと思いますね。

 

藤井:ありがとうございました。こうして振り返ってみると、自分にウソをついて生きるのではなく、自分に正直に、社会と、人と、そして自分と向き合ってこられた今江さんの実直さがよくわかりますね。これから更に素晴らしいリーダーとして、ご活躍を期待しています。ありがとうございました。

 

藤井義彦:インタビューを終えて。

 

私は神戸生まれ。何時までも神戸訛りが抜けない私に対して、今江社長も滋賀弁で答えてくれた、楽しいインタビューであった。インタビューを終えて、最初に感じたことは、今江氏は強い意志と目的意識を以ってキャリアを築き上げたというよりも、その時々の“流れ”に乗ってキャリアが形成されてきていることである。又その時々でよき年長者が、守護天使のように現れ彼を導いていることである。何か運命的な強さを持っているのではなかろうか。

 

今江社長の、グローバル・リーダーとしての原点はアメリカ人夫婦からもらった「アメリカのガム」にある。子供の心に植えつけられた種は育っていく。村田機械から25歳の時 全くの無手勝流でアメリカへ。トップとして孤軍奮闘その間7年。この時代に今江社長の初期のリーダーシップ像が形作られた。

 

その後色々苦労をして、テサテープの社長に就任。この頃私は今江社長と知り合った。さっぱりとして明るい性格。営業マンとして天才的な嗅覚をもつ。しかし自意識過剰、過度の競争心。高い目線から高圧的な命令をして社内では不協和音が高まっていた。

 

その後本人の並々ならぬ努力があり、多くの「気付き」を得て、ガラッとリーダーシップ・スタイルが変わった。今は衆知を集めるタイプのリーダーシップだ。人間変わると決意すれば、変革できるものだ。

 

白髪が増えたという割には、白髪が目立たない万年青年の今江社長。もう少し白髪が目立つようになれば、もっともっと「自然体」に近づいていくことだろう。   
今江社長の益々の成長と成功を期待してやまない。

北里光司朗氏

国際キワニス日本地区ガバナー

元BTジャパン(株)会長

藤田実氏

オグルヴィアンドメイザージャパン 名誉会長

西川盛朗氏

ヨコハマコンサルティング(株) 代表取締役社長 元・ジョンソン社日本法人社長(CEO)、会長

今江博之氏

日本ジョンクレーン(株)代表取締役社長

渡邉健太郎氏

エコラボ合同会社    代表取締役社長

原田武夫氏

IISIA 原田武夫国際戦略情報研究所 CEO

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