地球社会では”当たり前”真のグローバルリーダーの視野とは。
リーダーの器の大きさは、視野の広さと比例しているとも言えます。
現在リーダーとしてビジネスシーンで活躍する方々は、ジャパンローカルという枠を超えて、全地球的な視野・視点から事象を把握し、グローバルな変化に適応して経営課題を創出しようということであろうと考えています。
しかし、一方で、日常の業務は日本企業や外資系日本子会社という日本で行っているケースが多いかと思います。
「存在が意識を決定する」と言ったのはマルクスです。毎日存在する場での
生活、作業、環境、人間交流という直接的な場への対応時間が、連続的に情報をもたらすので、グローバルに視野拡大を行うことは、二の次、三の次と、ついつい先伸ばしになることが悩みになっているリーダーも少なくないようです。
そこで今回は、改めて、これからのグローバル・リーダーにとってスタンダードな視野について、お伝えしてきたいと思います。
安倍首相は、21世紀になっての首相としては、海外を最も多く訪問して交流しており、
国際的な感度も高いと思いますが、それでも世界を主導権を持って動かすレヴェルには遥かに遠く、適応措置で手一杯のように見え、グローバル・ジャパン構想には遠く及びません。
相対的に少ない時間と、溢れる近接的な情報に囲われ、忙しい毎日を奔走している中で、地球全体の動きを把握し続けることはまさに至難な業とも言える。”できるだけ意識を持って努力する”という心構えだけでは、受け身的な姿勢で終わってしまうでしょう。
世界の先端で何が起きつつあるのか? 或は起きる前の蠕動があるのか? その動きが加速すると、いつ頃何が変わるのか? それが起こると、現在の仕事や生活にどのような影響をもたらすのか? というようなシナリオを近接的な領域からではなく、地球規模で外延的に探求し続けるには、計画的な努力が欠かせないということになります。
グローバル情報を外延的に取得するためには、どのように計画を立てたら良いのでしょうか?
それは「WHY?」→「WHAT?」→「HOW?」というプロセスを使って考えることが基本となります。WHYはどのような目的で情報をとるのか?ということを明確にすることです。
そうすれば、何の情報を(WHAT)とるかも定まりますし、WHATが決まれば、自ずとどうやってとるかという、HOWも考えやすくなります。HOWは、手段ですから、時にお金も必要となりますし、場合によっては困難も付きまといますが、本当に役立つ情報であれば、出費も可能でしょう。
何のために(目的)ということが非常に重要なポイントになります。しかし、多くの場合、ここが欠け落ちていたり、視野の狭いところからの目的設定で、目に見えている課題に対応するWHAT/HOWしか出てこないケースがあります。
本質的なWHYを考えるためには、思い切った現状離脱の発想が必須です。現在の自分の所在場所、仕事、周辺環境は、暗黙下で自分の思考や感性、情報探求の立ち位置に制約を加えます。現状所在地の窓から、景色や音を掴む努力をしても、現在の延長で、隣接的な視野感覚でしか、推理力が働かないのです。
グローバル経営者は、先ず自分の地球上の立ち位置を蹴って、一旦地球から飛び離れて地球を見る目が必要となります。同業種、同顧客層、同技術、同社会、或は近似的な関係から飛び出し、宇宙遊泳し、地球を外から眺める、宇宙視野から地球を見る。そのような視野で、自分は今何を目的として情報把握をすべきかを考えることが必要なのです。
そうすることで、地球の歴史、人類の歴史、科学の歴史を大局的に見ることができ、同時にこの地球で何が起きようとしているかを本質的に推察することができるでしょう。地球システムを構造的に把握することなく、真のグローバル・リーダーになることはできないと言っても過言ではないでしょう。
真のグローバル・リーダーになるためには、マクロで地球と人類の成り立ちを見つめ、先ず総体としての成り立ちと経過、そして運動体としての地球の変化予測を行える力を持つということが目的になります。
言い換えれば、グローバル・リーダーになるには、地球と人類の歴史学者、予測学者としての基礎知識が必要ということになるのです。この認識は、決して飛び抜けたものではなく、欧米の優れた経営者にとっては当たり前の認識であり、スタンダードです。いわゆる”マネジメント手法”は、ミドルマネジャーのツールであり、グローバル・リーダーの道具ではありません。
真のグローバル・リーダーを目指すのであれば、地球の成り立ちと予測、人類の成り立ちと予測、産業の成り立ちと予測、技術の成り立ちと予測等に関して識見を磨かなければならにことに思いを致し、より一層大局的な視野でWHYを見つけていくことが必要です。
あなたの視野は今どこにフォーカスを当てていますか?
毎日の忙しさの中でも、自分の視野視点について意識をしていくことで、あなたの中に新しいスタンダードが生まれてくることでしょう。